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2009年6月の一冊『陽気なギャングが地球を回す』

2009.06.01

「正義」のギャング達の痛快小説 伊坂幸太郎入門書

受験期からいろいろな事情で忙殺されておりまして、久々の更新です。
読書家の生徒が増えてきて、手ごたえを感じている今日この頃です。
今回は、活字離れが叫ばれる世の中に一石を投じられる可能性を秘めた小説家、伊坂幸太郎の作品をご紹介いたします。軽妙洒脱なセリフ、言葉のセンス、散りばめられた伏線、秘められた皮肉にも似たメッセージと、読めば読むほど味が出る伊坂幸太郎。小学生には少し難しく今ひとつオススメは出来ませんが、読書に慣れ始めた中学生には是非読んで欲しいと思います。

『陽気なギャングが地球を回す』  伊坂幸太郎 / おすすめ学年 中学1年生~中学3年生

<文庫本の裏表紙から> 嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!


読み終わった瞬間に面白い!と叫びたくなり、他の人にも紹介したくなる小説は数多くはありませんが、この小説は文句なしといったところでしょう。 銀行強盗であるにも関わらず、その行為を肯定したくなるようなそんな存在のキャラクターたち。テンポが良く、読み始めると最後まで「一気」と言った感じです。伊坂作品はそういった意味では麻薬ですね。
この「陽気なギャング~」は、実は、途中で何となく筋がわかってしまったわけですが、それでも読んだあとにすごくおもしろかった!と思えました。読者の知的好奇心を満足させつつ、部分的にそれを裏切り、最後には「やられた」と思う、そんな作品を書ける伊坂幸太郎は紛れもない天才です。

『陽気なギャングが地球を回す』は映画化もされており、こちらも非常に楽しめます。小説が映画化されるとがっかりすることが多いのですが、本書に関しては小説・映画二つ合わせて一つの作品と思わせてくれる出来でした。

伊坂ワールドへの第一歩として、太鼓判です。中毒症状にはくれぐれもお気をつけください。